全財産を譲る遺言書
今日の高松は雨もあがり過ごしやすい一日でしたが、
それまでの数日は雨が降り続いていました。
そんななか、事務員コニシさんからは、
私の質問に対する回答はまだですか、まだですかと言われ続け・・・
明日の無料相談会に行く前に白黒はっきりしてくださいとのことなので回答いたします。
事務員コニシさんの前回の質問は、
「私の財産を赤の他人の宮川さんに全部あげる!」
「私の財産を姪っ子に全部あげる!」
というものでした。
結論としては、
全財産を赤の他人である私に遺すという遺言書も、
親族の姪っ子さんに遺すという遺言書も通用します。
ただ、事務員コニシさんがおそらく気にしているのは、
遺留分(いりゅうぶん)の話ではないかと思います。
相続人にはいくらかは相続する権利があるので、
全財産を相続人以外の者に渡すような遺言書は無効なのではないか・・・と。
この遺留分という制度ですが、
事務員コニシさんの質問を例に説明しますと、
事務員コニシさんの財産は事務員コニシさんが自由に使えるわけですから、
遺言書によって最後の最後まで自分の思うとおりに処分することは可能です。
しかし、事務員コニシさんが築き上げた財産は、
愛する旦那さんの協力もあって築き上げたという側面もあれば、
親御さんの援助があって築き上げたという側面もあるかもしれません。
また、その財産は事務員コニシさんのかわいい子供さんを育てるためにも遣われるものかもしれません。
つまり、事務員コニシさんの財産の中には、
純粋に事務員コニシさんの財産とはいえない部分や
扶養義務を果たすために遣わなければならない部分が存在すると考えることができます。
その点に着目して、法律は「遺留分(いりゅうぶん)」という名で
事務員コニシさんが遺言書をもってしても自由に処分できない部分を相続人に保証しています。
では、全財産を私や姪っ子さんに渡すという事務員コニシさんの遺言書は無効になるのではないか・・・
とも思えますが、法律は、相続人の遺留分よりも事務員コニシさんの財産処分権を優先しています。
相続人の遺留分を侵害する遺言書も有効として、
全財産を譲り受けた私や姪っ子さんに対して、遺留分を侵害された相続人が
「遺留分が侵害されているからどうにかしろ」と請求(遺留分減殺請求)してはじめて、
その侵害している部分について無効になるという調整を図っています。
というわけで、財産を赤の他人である私に遺すという遺言書も、
親族の姪っ子さんに遺すという遺言書も通用するという回答になるわけです。
もっとも、依頼者の方から同じような相談を受けた場合は、
相続人以外の者に全財産を渡したい事情をお伺いして、
その事情に応じた手当をさせていただきます。
事務員コニシさん、こんな感じでいかがでしょうか。
明日は、高松市役所で9時から12時まで行政書士無料相談会があり、
私もその相談員として市民相談コーナーに常駐しております。
相続・遺言だけでなく農地転用、契約書、許認可など幅広い相談を受け付けておりますので
なにかお困りごとを抱えていらっしゃる方はぜひお越し下さい。
なお、行政書士による無料相談は、
高松市役所は毎月第1・第3金曜日9時から12時まで、
丸亀市役所は毎月第3木曜日9時から12時まで実施しております。
明日は社会貢献として相談員の職務をがんばってきます!